公開後90日の運用ロードマップ:計測→改善の回し方

運用・改善 / 90日ロードマップ
Webサイトは公開してからが本番。アナリティクスを確認しながら、だれでも回せる90日間の実務手順に落としました。また、アナリティクスがなくても回せる最小セットも記載しました。
週1の短い定例で数字を見て、小さな改善を積み上げます。
この記事の要点(3つ)
- 指標はシンプルに3つ:表示→反応→問い合わせ(送信)
- 90日を4期に分ける:整備→観測→改善→定着
- 週1×30分で回す:数字を見る→1つ直す→次週検証
まず決める指標(“北極星指標”とサポート指標)
北極星指標(最終ゴール)
- 問い合わせ数 / 見積依頼数 / 予約数(など、いずれか1つ)
- 判定期間:まずは公開後90日
サポート指標(毎週みる)
- 送信率=送信数 ÷ フォーム閲覧数
- 開始率=最初の入力イベント ÷ フォーム閲覧数
- 主要ページの遷移を観察(例:トップ→サービス→フォーム)
- 表示速度(画像最適化の影響を見る目安)
90日の回し方(4フェーズ)
-
Day 0–7 整備:まず“見える化”
- アクセス解析・タグ・フォーム計測を有効化
- フォームの送信率/開始率が取れているか確認
- 主要3ページ(トップ/サービス/お問い合わせ)に目印(イベント)を設置
- 画像の圧縮・遅延読み込みなど速度の初期対策
- ダッシュボード雛形を用意(下記)
目標:数字が「毎週」同じ場所で見られる状態に。
-
Day 8–30 観測:現状をつかむ
- 週1で数字を記録(北極星+送信率+開始率)
- 離脱の多い1つの項目を特定(例:電話番号)
- 内部リンクを1本ずつ追加(例:記事→サービス、サービス→お問い合わせ など)
- フォーム項目の日本語をわかりやすく(上ラベル、任意表記)
目標:ボトルネックを「1つの場所」に絞る。
- 1:数える(1週間でOK)
- 次の5つの“件数”を書き出します。
入口(トップ閲覧)→ サービス閲覧 → CTAクリック → フォーム開始 → 送信完了 - 2:比べる
- 各ステップの落差(減り方)を見て、いちばん落ちている区間に旗を立てます。
(例)トップ500 → サービス300 → CTA30 → 開始25 → 送信10
→ 300→30の落差が最大=「見られているのに押されない」がボトルネック。 - 3:1カ所だけ直す(2週間)
- 見つけた箇所に合う処方を1つだけ実施 → 翌週数字で確認。
同時にあれこれ直さないのがコツです。 -
Day 31–60 改善:小さく直す
- フォームの任意化/削除/選択式化を1つ実施
- サービスページのリード文(100字くらい)を「結論→次の行動」に書き換え。
※すぐ下にCTAボタン置くと効果的 - 事例/実績を1件追加(数字/ビフォーアフター1枚でOK)
- 画像を再圧縮(横1200px・適正フォーマット)
目標:送信率+0.5〜1.0ptの改善。
-
Day 61–90 定着:テストと仕組み化
- CTA文言を2案A/B(例:無料相談→10分で粗く埋める無料相談)
- お問い合わせ導線をヘッダー/フッターに固定
- 週1の編集カレンダーで記事を3本追加(関連内部リンクも)
- 月次ふりかえり:勝ちパターンを運用ルールに反映
目標:勝ちパターンを“運用ルール”に固定。
毎週見るダッシュボード(雛形)
項目 | 見るポイント | 対処の例 |
---|---|---|
問い合わせ数 | 先週比 / 4週平均 | 流入元・導線の見直し |
送信率 | フォーム閲覧→送信 | 項目の任意化/削除・文言調整 |
開始率 | 閲覧→最初の入力 | 導入文・項目数・スマホ最適化 |
主要導線 | トップ→サービス→フォームの遷移 | 内部リンク追加・ボタン配置 |
速度 | 画像サイズ・遅延読み込みの状態 | 再圧縮・軽量化 |
まず効く“クイックウィン”10
- フォームの「電話番号」を任意化(メール/電話どちらか必須)
- フォームの項目名を現場の言葉に言い換え(上ラベル)
- サービスページのリード文を「結論→次の行動」+ボタン
- 内部リンクを各ページ1本追加(例:関連記事→サービス/お問い合わせ)
- 画像の一括圧縮(横1200px目安)
- ボタン文言を行動語に(例:無料相談を予約する)
- サンクスページに「次の一手」(例:セミナー予約・資料請求)を設置
- スマホのタップ領域(ボタン)を48px以上に調整
- 会社情報/実績を1つ追加(数字を1つ入れる)
- 週1の定例化(毎週◯曜AM、30分)
ミニABテストの回し方
(ライト版)
- テスト対象を1つに絞る(CTA文言 or 見出し)
- 2週間または300–500セッションを目安に実施
- 送信率の高い方を採用 → 次のテストへ
“統計的に厳密”より、“小刻みに継続”が中小企業では効果が出やすいです。
役割と進行(小さなチーム想定)
- 見る人:数字を記録(10分)
- 直す人:小さな修正を1つ(15分)
- 決める人:翌週のテスト/改善を決定(5分)
導入チェック(10項目)
アナリティクスがなくても
回せる最小セット
まずは 「数えるだけで見える数字」に絞ります。これだけで十分に前進できます。
- 問い合わせ件数:メール・電話折返し・LINE/DMの合計(週ごと)
- 公開本数:ブログ/お知らせ/SNSの公開数(週ごと)
- 一次返信までの時間:問い合わせに最初に返事するまでの目安時間
設定いらずの“数え方”
(今日からできる)
- メール:フォーム通知の件名を
【問い合わせ】◯◯
に統一 → メール検索で件数が出せます。 - 電話/コールバック:ノート or スプレッドシートに
日付 / お名前 / 用件
を1行ずつ。行数=件数。 - LINE/DM:週の始めと終わりに未読数のスクショ(または手でカウント)。
- 公開本数:その週に公開した記事/投稿を一覧で数えるだけ。
※「どこから来たか」も軽く知りたい場合は、フォームに任意項目を1つ足すのが簡単です(下に例)。
フォームに「きっかけ」を
1つ足す(任意)
【任意】当社をどこで知りましたか?
・Google/Yahoo! 検索
・ご紹介
・Instagram
・X(旧Twitter)
・LINE/その他
※ 項目は任意のままでOK。「傾向」をざっくり掴むのが目的です。
90日ロードマップ
(ライト版:数字がなくても進む)
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Day 0–7 整備:まず“メモの置き場”を作る
- 週ごとの記録シートを用意(紙でも表計算でもOK)
- メール件名を【問い合わせ】に統一/電話は1件1行でメモ
- フォームに任意の「きっかけ」を追加(上の例)
- ボタン文言を行動語に(例:無料相談を予約)
目標:来週から数を記録できる状態に。
-
Day 8–30 観測:現状をつかむ
- 毎週、問い合わせ件数 / 公開本数 / 返信までの時間を記録
- 問い合わせの「きっかけ」をざっくり数える(検索/紹介/SNS)
- フォームの日本語をやさしく(上ラベル/任意に「任意」明記)
目標:増やせそうなチャネル/項目が1つ見えている。
-
Day 31–60 改善:小さく直す
- フォームの項目を1つ減らす(電話番号→任意など)
- よく読まれる記事の冒頭100字を「結論→次の行動」に書き換え
- SNS投稿を週1→週2にできる週だけ増やす(無理はしない)
目標:問い合わせ件数が先月より+1〜2件。
-
Day 61–90 定着:続く仕組みに
- 問い合わせ導線(ヘッダー/フッター)を固定
- ボタン文言を2案で隔週テスト(どちらが反応↑か)
- 「記録シート」を運用ルールとして定例化(週1、30分)
目標:続けられる“自社の型”が1つできた。
手書きでもOK:週次の記録シート(雛形)
週 | 問い合わせ件数 | 公開本数 | 一次返信までの目安時間 | きっかけ(多い順に2つ) | 来週の一手(1つ) |
---|---|---|---|---|---|
W1 | |||||
W2 | |||||
W3 | |||||
W4 |
スプレッドシート化もおすすめです。
週1定例の台本
(10分+15分+5分)
- 10分:数字確認(問い合わせ件数/公開本数/返信時間)
- 15分:今週の一手を1つだけ決める(項目を減らす、導線を足す 等)
- 5分:担当と期限を決めて終了(“宿題”を先送りせず、その場で“今週やる1手”を30分タスクにまで落とし込む)