公開後90日の運用ロードマップ:計測→改善の回し方

2025.08.31

運用・改善 / 90日ロードマップ

Webサイトは公開してからが本番。アナリティクスを確認しながら、だれでも回せる90日間の実務手順に落としました。また、アナリティクスがなくても回せる最小セットも記載しました。
週1の短い定例で数字を見て、小さな改善を積み上げます。

この記事の要点(3つ)

  • 指標はシンプルに3つ:表示→反応→問い合わせ(送信)
  • 90日を4期に分ける:整備→観測→改善→定着
  • 週1×30分で回す:数字を見る→1つ直す→次週検証

まず決める指標(“北極星指標”とサポート指標)

北極星指標(最終ゴール)

  • 問い合わせ数 / 見積依頼数 / 予約数(など、いずれか1つ)
  • 判定期間:まずは公開後90日

サポート指標(毎週みる)

  • 送信率=送信数 ÷ フォーム閲覧数
  • 開始率=最初の入力イベント ÷ フォーム閲覧数
  • 主要ページの遷移を観察(例:トップ→サービス→フォーム)
  • 表示速度(画像最適化の影響を見る目安)

90日の回し方(4フェーズ)

  1. Day 0–7 整備:まず“見える化”
    • アクセス解析・タグ・フォーム計測を有効化
    • フォームの送信率/開始率が取れているか確認
    • 主要3ページ(トップ/サービス/お問い合わせ)に目印(イベント)を設置
    • 画像の圧縮・遅延読み込みなど速度の初期対策
    • ダッシュボード雛形を用意(下記)

    目標:数字が「毎週」同じ場所で見られる状態に。

  2. Day 8–30 観測:現状をつかむ
    • 週1で数字を記録(北極星+送信率+開始率)
    • 離脱の多い1つの項目を特定(例:電話番号)
    • 内部リンクを1本ずつ追加(例:記事→サービス、サービス→お問い合わせ など)
    • フォーム項目の日本語をわかりやすく(上ラベル、任意表記)

    目標:ボトルネックを「1つの場所」に絞る。

  3.  ボトルネックをどうやって絞る?

    1:数える(1週間でOK)
    次の5つの“件数”を書き出します。
    入口(トップ閲覧)→ サービス閲覧 → CTAクリック → フォーム開始 → 送信完了
    2:比べる
    各ステップの落差(減り方)を見て、いちばん落ちている区間に旗を立てます。
    (例)トップ500 → サービス300 → CTA30 → 開始25 → 送信10
    → 300→30の落差が最大=「見られているのに押されない」
    がボトルネック。
    3:1カ所だけ直す(2週間)
    見つけた箇所に合う処方を1つだけ実施 → 翌週数字で確認。
    同時にあれこれ直さないのがコツです。
  4. Day 31–60 改善:小さく直す
    • フォームの任意化/削除/選択式化を1つ実施
    • サービスページのリード文(100字くらい)を「結論→次の行動」に書き換え。
      ※すぐ下にCTAボタン置くと効果的
    • 事例/実績を1件追加(数字/ビフォーアフター1枚でOK)
    • 画像を再圧縮(横1200px・適正フォーマット)

    目標:送信率+0.5〜1.0ptの改善。

  5. Day 61–90 定着:テストと仕組み化
    • CTA文言を2案A/B(例:無料相談→10分で粗く埋める無料相談)
    • お問い合わせ導線をヘッダー/フッターに固定
    • 週1の編集カレンダーで記事を3本追加(関連内部リンクも)
    • 月次ふりかえり:勝ちパターンを運用ルールに反映

    目標:勝ちパターンを“運用ルール”に固定。

毎週見るダッシュボード(雛形)

項目 見るポイント 対処の例
問い合わせ数 先週比 / 4週平均 流入元・導線の見直し
送信率 フォーム閲覧→送信 項目の任意化/削除・文言調整
開始率 閲覧→最初の入力 導入文・項目数・スマホ最適化
主要導線 トップ→サービス→フォームの遷移 内部リンク追加・ボタン配置
速度 画像サイズ・遅延読み込みの状態 再圧縮・軽量化

まず効く“クイックウィン”10

  • フォームの「電話番号」を任意化(メール/電話どちらか必須)
  • フォームの項目名を現場の言葉に言い換え(上ラベル)
  • サービスページのリード文を「結論→次の行動」+ボタン
  • 内部リンクを各ページ1本追加(例:関連記事→サービス/お問い合わせ)
  • 画像の一括圧縮(横1200px目安)
  • ボタン文言を行動語に(例:無料相談を予約する
  • サンクスページに「次の一手」(例:セミナー予約・資料請求)を設置
  • スマホのタップ領域(ボタン)を48px以上に調整
  • 会社情報/実績を1つ追加(数字を1つ入れる)
  • 週1の定例化(毎週◯曜AM、30分)

ミニABテストの回し方
(ライト版)

  1. テスト対象を1つに絞る(CTA文言 or 見出し)
  2. 2週間または300–500セッションを目安に実施
  3. 送信率の高い方を採用 → 次のテストへ

“統計的に厳密”より、“小刻みに継続”が中小企業では効果が出やすいです。

役割と進行(小さなチーム想定)

  • 見る人:数字を記録(10分)
  • 直す人:小さな修正を1つ(15分)
  • 決める人:翌週のテスト/改善を決定(5分)
定例は週1×30分固定。時間で区切ると続きます。

導入チェック(10項目)

アナリティクスがなくても
回せる最小セット

まずは 「数えるだけで見える数字」に絞ります。これだけで十分に前進できます。

  • 問い合わせ件数:メール・電話折返し・LINE/DMの合計(週ごと)
  • 公開本数:ブログ/お知らせ/SNSの公開数(週ごと)
  • 一次返信までの時間:問い合わせに最初に返事するまでの目安時間
数えてメモするだけでOK。「問い合わせ数↑」「返信までの時間↓」「公開本数=週1以上」をまず目標に。

設定いらずの“数え方”
(今日からできる)

  1. メール:フォーム通知の件名を 【問い合わせ】◯◯ に統一 → メール検索で件数が出せます。
  2. 電話/コールバック:ノート or スプレッドシートに 日付 / お名前 / 用件 を1行ずつ。行数=件数。
  3. LINE/DM:週の始めと終わりに未読数のスクショ(または手でカウント)。
  4. 公開本数:その週に公開した記事/投稿を一覧で数えるだけ。

※「どこから来たか」も軽く知りたい場合は、フォームに任意項目を1つ足すのが簡単です(下に例)。

フォームに「きっかけ」を
1つ足す(任意)

【任意】当社をどこで知りましたか?
・Google/Yahoo! 検索
・ご紹介
・Instagram
・X(旧Twitter)
・LINE/その他

※ 項目は任意のままでOK。「傾向」をざっくり掴むのが目的です。

90日ロードマップ
(ライト版:数字がなくても進む)

  1. Day 0–7 整備:まず“メモの置き場”を作る
    • 週ごとの記録シートを用意(紙でも表計算でもOK)
    • メール件名を【問い合わせ】に統一/電話は1件1行でメモ
    • フォームに任意の「きっかけ」を追加(上の例)
    • ボタン文言を行動語に(例:無料相談を予約

    目標:来週から数を記録できる状態に。

  2. Day 8–30 観測:現状をつかむ
    • 毎週、問い合わせ件数 / 公開本数 / 返信までの時間を記録
    • 問い合わせの「きっかけ」をざっくり数える(検索/紹介/SNS)
    • フォームの日本語をやさしく(上ラベル/任意に「任意」明記)

    目標:増やせそうなチャネル/項目が1つ見えている。

  3. Day 31–60 改善:小さく直す
    • フォームの項目を1つ減らす(電話番号→任意など)
    • よく読まれる記事の冒頭100字を「結論→次の行動」に書き換え
    • SNS投稿を週1→週2にできる週だけ増やす(無理はしない)

    目標:問い合わせ件数が先月より+1〜2件

  4. Day 61–90 定着:続く仕組みに
    • 問い合わせ導線(ヘッダー/フッター)を固定
    • ボタン文言を2案で隔週テスト(どちらが反応↑か)
    • 「記録シート」を運用ルールとして定例化(週1、30分)

    目標:続けられる“自社の型”が1つできた。

手書きでもOK:週次の記録シート(雛形)

問い合わせ件数 公開本数 一次返信までの目安時間 きっかけ(多い順に2つ) 来週の一手(1つ)
W1
W2
W3
W4

スプレッドシート化もおすすめです。

週1定例の台本
(10分+15分+5分)

  • 10分:数字確認(問い合わせ件数/公開本数/返信時間)
  • 15分:今週の一手を1つだけ決める(項目を減らす、導線を足す 等)
  • 5分:担当と期限を決めて終了(“宿題”を先送りせず、その場で“今週やる1手”を30分タスクにまで落とし込む)

目次